こんにちは!
トールペイント歴30年・犬の肖像画を220頭以上描いた、トールペイント作家の小林静恵です。
家でトールペイントを描いているのだけれど、どうも上手く描けない。
講習会(お教室)では描けるのだけれど、自分一人で描くと失敗する。
それは、ズバリ練習不足です!!
本や動画でトールペイントの手順や技法は分かっているのですが、それが身についていない状態なのです。
体験会に参加された榮子さんからメールが届きました。
榮子さんの「葉っぱがムラになる」問題については、体験会でも説明しましたし、ご自宅での練習方法もお話ししました。
正しい描き方を習っても、そのままだと身に付かないのです。
でも7日間、練習したら結構上手になるのですよ✨
この記事では、トールペイント初心者さんが失敗しやすい事柄と改善するための練習方法(主に平筆編)についてお話ししたいと思います。
トールペイントの技法
- 平筆技法 べた塗した物に陰影をつける技法。(主に平筆使用)
- 丸筆技法 数種類のカンマストロークで描く技法。(主に丸筆使用)
丸筆技法は、筆の「入り」「はらい」などのタイミングや微妙な力加減の練習が必要なので、今回は除かせていただき、平筆技法のみの練習法となります。
*機会がありましたら丸筆技法についての記事も書かせていただきます。
- (1)トールペイントの練習1日目 ベースを塗る!
- (2)トールペイントの練習2日目 ムラなく塗る!
- (3)トールペイントの練習3日目 短時間で塗る!
- (4)トールペイントの練習4日目 フラットに塗る!
- (5)トールペイントの練習5日目 細い線を描く!
- (6)トールペイントの練習6日目 サイドロード①
- (7)トールペイントの練習7日目 サイドロード②
- まとめ
(1)トールペイントの練習1日目 ベースを塗る!
これから練習するために1辺が20㎝程度の表面が滑らかな板が必要です。
- 版画用のシナ合板板(250円程度)
- ホームセンターでシナ合板板を購入し、希望の大きさにカットしてもらう
- 以前描いた作品の裏面を使う
上記を参考にご用意ください。
「家に帰って自分で描いたら失敗した!」と、生徒さんに相談される時があります。
「どんなの描いたの?」見せてもらうと、だいたい、地塗り(ベース)が汚いです。
汚い上に何を描いても上手く描けない訳です。
まずは、素材に下地材(シーラー)を塗っておきます。
次に幅広の筆やポリブラシでベースの絵の具を塗っていくのですが・・・
トールペイントの地塗りのコツは、木目に沿って筆を一方方向へ動かす事。
あっちこっち、好きな方向に塗らないでください。
1回塗ったら、ドライヤーで乾燥させます(ドライと言います)
絵の具を塗る→ドライする→絵の具を塗る・・・これを数回繰り返します。
「数回って何回ですか?」
これは、ケースバイケースなので何回とは言えません。ムラが無くなるまでです。
*ムラと言うのは筆の筋や木の木目が見える状態の事です。
不思議なもので絵の具の色によって塗る回数は違ってきます。
恐らく、絵の具に含まれる顔料の差なのでしょう。
トールペイント1日目はの練習は、きれいなベースを1枚塗る事です!
(2)トールペイントの練習2日目 ムラなく塗る!
みなさんは、花や葉を描く機会が多いと思います。
きれいにお花を描くため、まずは1日目に地塗りを済ませた素材に、丸を2つ描いて、小さなパーツを塗る練習をしましょう。
体験会や、初心者さんのレッスンで一番多い質問が上記の1回塗りの状態です。
「先生、どうやってもムラになって綺麗に塗れません💦」
恐らく、トールペイントの大先生が塗っても少しはムラになると思います。
何故って、トールペイントの絵の具は他のアクリル絵の具に比べて薄く調合されているからです。
「ムラになった時の直し方はあるのですか?」
絵の具が乾燥してから、何回か塗ると自然とムラは消えます。
絵の具が乾燥するまで待っているのも時間が無駄なので、ドライしましょう。
表面を軽く触ってみて、サラッとしていれば完了です。
*ドライヤーをあまり素材に近づけ過ぎない事!
ドライしたらまた絵の具を塗ります。
これを3回ぐらい繰り返すと「塗りムラ」は無くなります。
<ポイント>塗った所がムラになったら、ドライヤーで乾かし、2~3回塗る事。
乾かさない状態で、何回塗ってもムラはなくなりません!!
トールペイント2日目の練習は、小さな円2つをムラなくべた塗することです。
(3)トールペイントの練習3日目 短時間で塗る!
「さあ、皆さんここまで出来ましたか?」と生徒さん達の作品を見て周ると、遅れている人がたまにいます!!
単にノンビリさんなのか、慎重な性格なのか?
いや、トールペイントで塗るのが遅い人には原因があります。
それは筆の選択を間違っているのです。
はみ出したくないと思って、細い筆(それも丸筆)で塗る人がいます。初めに使う筆の種類は説明しているのに、「どうしてもこの方が塗りやすい」と思ったのでしょう。
ぬり絵の様に、輪郭を塗ってから中を塗る人もいますが、この方法だとすごく時間が掛かり、仕上がりもきれいではありません。
トールペイントのべた塗は、平筆を使います。
平筆の外側(エッジと言います)を図案の輪郭に沿って塗ると、きれいに早く塗れます。
「そうすると、チョットはみ出ちゃうのよね」
そうなのです。力の入れ具合によってはみ出す事もあるかも知れません。
その力加減をつかむのは毎日の練習しかないのですが、「はみ出るのが心配!」と言う人は平筆を2号に変えるとぬりやすくなります。
トールペイントの材料の選び方はこちらから↓
トールペイント3日目の練習は、小さな円2つを平筆のエッジを使って塗る事です。
(4)トールペイントの練習4日目 フラットに塗る!
「葉っぱを塗ったら、凸凹になっちゃいました!」
初心者さんのお悩みで次に多いのが、フラットに塗れない事です。
表面がデコボコしていると次の作業(陰影をつける)が上手くいきません!!
この原因は簡単です。絵の具が多いからです。
余った絵の具をふき取らないと固まって凸凹になってしまいます。
「でも、絵の具を少なくすると、かすれちゃうのです。」
「絵の具をどの位、筆に付けたら良いのか分かりません・・・」
そいうお悩みのある方のパレットを覗くと、筆に絵の具がこってりと付いています。
絵の具は筆の金具部分まで付けない事、筆の3/4ぐらいまでにとどめておきましょう。
まず、筆に絵の具を付けすぎない癖をつけて下さい。
*筆についている絵の具を見て下さい、絵の具は筆の先にだけついています。
トールペイント4日目の練習は、小さな円2つをフラットに塗る事です。
(5)トールペイントの練習5日目 細い線を描く!
各パーツのべた塗が終わったら次に、ライナー筆で細かい部分を描いたりします。
この時も「先生,線が太くなっちゃいました!」と生徒さんに相談されることが多いです。
<線が太くなる理由>
- 筆のコンディションが悪い
- 筆の水分が少ない(ライナー筆を使う時は水を+する)
- 筆圧がかかっている
とくに、この3は難しいです。どのぐらいの筆圧でどのぐらいの太さになるのか練習して覚える必要があります。
上手な方はいつも同じ筆圧を保てているのです。
でも、とりあえず、細い線を描きたいという人はこんな方法が有ります。↓
- 細い丸筆をパレットの上で目一杯広げる(筆はうすく広がる)
- 1の筆を90度回転させる(広がった面ではなくうすい面をを使う)
- 力を抜いてスーッと引くと細い線が描けます
いつも、線が太くなるという人は、試してみて下さいね!
トールペイント5日目の練習は、ライナー筆を使って細い線を5本描くことです。
(6)トールペイントの練習6日目 サイドロード①
べた塗した部分に、影と光を加えて立体感を出すときに使う技法がサイドローディング(サイドロード)です。
恐らく、初心者さんにとって一番難しい技法だと思うので丁寧に練習方法をお伝えします。
<サイドロードの効果>
1,苺の実をアイボリーと黄色にべた塗します。
2,黄色く塗った苺の下部に濃オレンジの絵の具でサイドロードします。
3,2の苺に更に、赤でもう一度サイドロードしました!
<サイドロードの筆作り>
- 水を含ませた平筆をペーパーで軽くふき取る。(まだ水分は残っている)
- 平筆の左側3分の1程度に絵の具を付ける。(筆を立てて付けると簡単)
- パレット上で、筆を6~8回前後に動かしてこする。
- 筆の左側に付けた絵の具が中央ぐらいまで混ざれば完了。
筆がちゃんと作れないと、サイドロードが線になって失敗してしまいます。
立体的に見えません↓
サイドロードが失敗する原因は2つ考えられます。
- 水分が少ない(ペーパーでふき取りすぎた)
- 筆を前後に動かしてこする回数が足りない(良く混ざっていない)
トールペイント6日目の練習は、平筆にサイドロード用のグラデェーションを作る事です。パレットなどに10本練習しましょう。
(7)トールペイントの練習7日目 サイドロード②
6日目の練習で、筆の準備が完璧にできてもサイドロードに失敗することがあります。
上の画像をよく見て下さい。
向かって左側の筆は傾いています。
3日目の練習でも説明しましたが、はみ出したくないから筆が斜めになるのです。
この状態でサイドロードしても細い線になっていまって、幅広なグラディエーションにはなりません。
向かって右が、サイドロードの筆の正しい向きです。
筆は、画面に水平になっています。
トールペイント7日目の練習は、小さな円2つの下部にサイドロードで影を入れる事です(赤系の絵の具を使用)↓
まとめ
初心者向けのトールペイントの練習方法、すべて読んでいただき、どんな感想を持たれたでしょうか?
「私はべた塗ぐらいはできるわよ!」と言う方は、5日目から練習してください。
「いや、べた塗からやり直したい!」
そんな初心者さんは、知識不足だったのか?勘違いしていたのか?知らない間に癖がついていたのか?
なぜ上手く描けなかったのかを考えてみて下さい。
理由が分かったら、とにかく練習して悪い癖を直してくださいね!!
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