こんにちは!
トールペイント歴30年・犬の肖像画を220頭以上描いた、トールペイント作家の小林静恵です。
トールペインターさんなら気づいていると思いますが、最近絵の具が値上がりしていますよね?
それに廃盤の色も多くなってきました。自分の好きな色が無くなるって悲しい💦
ピコットさん、「廃盤色変換表」を見て下さい。
多くの色が廃盤になっていて、その色の代替え色がわかります。
「新しい絵の具を買うのも高いし、廃盤になっているかもしれない。今ある絵の具を大切にしなくちゃ!」そう思って、絵の具の整理をしてたら、数本固まっている絵の具を発見!!
ガ~ン (´;ω;`)ウゥゥ
そうそう、トールペイント教室の新しい生徒さんに、必ず聞かれる事の1つがこの古い絵の具問題なのです。
おそらく、マニュキア薄め液みたいなものが存在していて、トールペイントの固まった絵の具に溶剤を入れれば溶けて、また使えるようになるのでは?
そんな風に考えているのでしょうが・・・
答えはNOです!
トールペイントのアクリルの具が固まったら、捨てて下さい。
「そんなのもったいない!」
本当にもったいないです。高い絵の具だから出来れば長く使いたいですよね?
この記事では
- アクリル絵の具の特徴
- アクリル絵の具が何故固まるのか?
- アクリル絵の具の保存方法
- 筆についたアクリル絵の具を取る方法(筆の洗い方としまい方)
などをお話ししたいと思います。
トールペイントのアクリル絵の具は、消費期限などがあって同じ時期に固まる訳ではありません。保管の仕方や使い方によって固まるまでの時間が違ってくるのです。
この記事では、アクリル絵の具が固まるのを遅らせる対策もご紹介しますので、最後までゆっくり読んでみて下さい!
トールペイントのアクリル絵の具の特徴
アクリル絵の具とは、顔料+アクリル樹脂乳濁液で練った絵の具の事、他の絵の具には無い特徴があります。
耐水性と速乾性がある
アクリル絵の具は水溶性ですが、乾くと優れた耐水性を示し、屋外でも使えます。
接着力が大きいため、紙やキャンバスだけでなく、金属、ガラス、コンクリート等様々な支持体に描画できます。
また、油絵具と比較すると速乾である。などの特徴があります。
つまり乾いていない状態では水に混ざるが、一度乾いて固まったら2度と水に溶ける事は無いのです。
だから、トールペイントのアクリル絵の具が固まったら、もったいないけれど捨てるしかないのですね。
油絵の具と同じく、重ね塗りが出来る
油絵の場合は、下の絵の具が乾くのに時間がかかりますが、トールペイントのアクリル絵の具は速乾性の為、すぐに重ね塗りが出きます。
塗った物の厚みにもよりますが、通常10~20分で乾燥します。
ここが、水彩画の絵の具と違う所です。
重ね塗りの時、絵の具を水で薄めて透明感を出すことも出来ますし、モデリング材を使って、立体的に描く事も出来ます。
トールペイントのアクリル絵の具が固まる要因 4 点と対策
トールペイントのアクリル絵の具は空気に触れると固まります!
水分があれば液体ですが、空気にふれて固まると、二度と液体には戻りません。
つまり、絵の具を空気から隔絶すれば固まらないはずですが・・・
色々な理由で、蓋をしたボトルの中に空気が入り、絵の具が固まってしまうことがあるのです。
どんな時に、アクリル絵の具が固まるのでしょうか?
1,アクリル絵の具のキャップがちゃんと閉まっていないと固まる。
これは、良くあります(笑)
何故、ふたがキッチリと閉まっていなかったのか?
それは、注ぎ口の絵の具の固まりを取らなかったからです。
絵の具の塊をこまめに取らないと、キッチリ蓋が閉まらずに空気が入ってしまいます。
2,温度が高い場所に置いておくと固まりやすい!
ブログなどを見て時々気になる事があります。お部屋の出窓や窓のそばの棚に絵の具を置いている人がいるのです。
作品や絵の具・トールペイントグッズなどを綺麗にディスプレイしているのでしょうが、窓のそばに置くと熱くなり絵の具の水分が少なくなります。
絵の具は、部屋の北側や納戸、引き出しの中等に収納する事をお勧めします。
3,部屋がものすごく乾燥していると固まりやすい!
アメリカのアリゾナ州は、猛暑で有名で「砂漠気候」と言われているようです。
かなり前の話、米国人講師の方より下記のような話を聞きました。
「アリゾナのトールペインターさんたちは、絵の具の乾燥に対応したパレット(ウェットパレット)を使っているわ。」
その時はあまり理解出来なかったのですが・・・
実際にウエットパレットを使ってみると絵の具が長持ちする事より、「湿度が高い」とアクリル絵の具が乾かないことが分かります。
<ウェットパレットの作り方>
ウェットパレットは市販されていますが、家に有る物でも代用できます。
- 濡れたスポンジシートをトレッシングペーパーで包み、薄いケースに入れる。
- 乾かせたくない絵の具(混色したものなど)を載せる。
- 蓋をして保存しておくと、2~3週間固まらない。
容器に入れる事で空気に触れず更に湿度も高くなるので長期間乾燥しません。
4,古い絵の具を購入すると固まりやすい!
これもよくある事なのですが、店舗によっては絵の具が分離していることがあります。
上が水分、下がアクリル樹脂に分かれている訳です。
未開封の絵の具でも、年月が経つと少しずつ空気が入り乾燥してしまうのでしょう。
もちろんこの時点では、ボトルを良く振るとちゃんと使えます。
しかし、分離するのは古い絵の具の兆候なの、よく確認した方が良いです。
筆に付いたアクリル絵の具も固まる!洗い方としまい方を解説
みなさんは、せっかく買った新しい筆がすぐにダメになった経験ないですか?
使っている途中はちゃんと筆洗いに入れておいたのに・・・
終わった時もちゃんとソープで洗ったのに。
私も初期の頃は、そういう失敗が多かったです。今までに何本の筆をダメにした事か。
トールペイントのアクリル絵の具をきちんと取らないと(取っているつもりでも残っていると)筆の根元が固まってしましい、その結果筆の先がばらけるのです。
これも、アクリル絵の具の特性と言えますね。
筆洗い液やクリーナーと言う物も売っていますが、完全には落ちません。
トールペイント用ナイロン筆の洗い方
アクリル絵の具の筆ですが、100均で買えるものからセーブルの筆まで(1本1000円以上します)いろいろあります。
その中で多くのペインターさんが使っているのがナイロン筆です。
皆さんは、どの様にナイロン筆を洗っていますか?
使い終わった筆の洗い方ですが、私は石鹸を使っています。
(専用の溶剤やソープは使っていません)
軽く水洗いした筆をそのまま石鹸にこすりつけて泡立てます。
この時、汚れが落ちたかどうかを手のひらで確かめます。
泡が綺麗ならもうアクリル絵の具は残っていませんが、下の写真の様に色がついたら汚れが残っている証拠。
もう一度洗い直します。これを何度も繰り返します。
太い筆の場合は、とくに根元の絵の具が取れにくいですね。
*繊細な動物の筆や特殊な筆は、こすりつけるのではなく優しく洗ってください。
トールペイントの筆のしまい方
トールペイントの筆は、筆先を下にして乾燥した方が良いと聞いたことがあります。
それは、上にして乾燥すると筆の根元に水分が残るからだそうです。
でもそうなると筆をぶら下げる物が必要になり、場所も取りますよね?
そこで、代案として筆をねかせて乾燥するようになりました。
巻きす(筆巻きでも良い)にパジャマのゴムを通したものです。
上記に洗った筆を入れて、そのまま机の上に置いて乾燥させています。
メッシュなので通気性も良いですし、くるっと巻けばレッスンにも持って行けます。
まとめ
トールペイントのアクリル絵の具が固まったら、残念ですが捨てるしかありません。
アクリル絵の具には空気に触れると固まるという特徴があるので、固まらない様にいろいろ工夫し、できるだけ長持ちさせて下さいね!
また、筆に付いたアクリル絵の具はすぐに取らないと筆の寿命を縮めてしまいます。
最後まで読んでいただきありごとうございました。
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