こんにちは!
トールペイント歴30年・犬の肖像画を220頭以上描いた、トールペイント作家の小林静恵です。
トールペイントで犬(動物)の絵を描こうかな~と思っている人は、2パターンに分かれます。
① 犬の絵をトールペイントで描きたい!
② 愛犬の似顔絵をトールペイントで描きたい!
①の場合は簡単です!お好きな作家さんの講習会に参加する。
または、犬の図案が載っているトールペイントの本を購入し、ステップ‐バイ‐ステップで描けば良いと思います。
②「愛犬の似顔絵をトールペイントで描きたい!」場合は少し難しいです。
何故なら、あなたの「愛犬」の図案は何処にもないからです。
簡単に入手出来るのは、トールペイント作家さんが描いた犬の絵の図案だけです。
愛犬をスケッチすれば良い図案が作れるのでは?
でも、スケッチは絵心が無い方や初心者さんには難しい物です。
それに、愛犬が亡くなっている場合は無理ですよね?
「どうしたら愛犬の図案が手に入るの?」
愛犬の図案の入所方法は2つです。
① 個別対応をしてくれるトールペイント教室を探して、先生に作ってもらう。
② 愛犬の図案を写真から自作する。
「自作できるのなら初めに言って」
「すみません💦」
今回は、②「愛犬の図案を写真から自作する」手順や、必要な材料についてご説明したいと思います。
少し長いですが、最後まで読んでいただくと嬉しいです♬
最後に、すぐに描ける「チワワの無料図案プレゼント」のお知らせがあります!!
【犬のトールペイント】図案の作り方にはコツがある!?
図案なんて、ただ愛犬の画像を印刷して、それを写せば簡単に出来るでしょ?
コツなんてあるの?
私も、犬の似顔絵を始めた頃はそう思っていました。
お客様から預かったお写真を印刷して正確にトレースする。
それだけで大丈夫だと考えていたのです。
でも、描き進んでいるうちに・・・
「何か違う!」
「イメージと合わない」
「違う画像の方が良かったかな?」と、感じる場面に直面しました。
犬(動物)の図案づくりは意外と難しかったのです!!
そこで、私が失敗して学んだ事をお伝えして初心者さんのお役に立てればと思い、この記事を書くことにしました。
【犬のトールペイント】愛犬の図案作りの手順
1、 材料を揃える
①素材を用意しよう!
まず、最初に素材をご用意ください!
お勧めする素材は、1辺10~25cm位の木の板です。
子供の学習ノートぐらいのサイズとお考え下さい。
素材選びはとても重要です。
何故なら、大きな素材は、描く時に回転させるので描きにくいです。
初めからB4サイズ位の大きな素材を選んでしまうと、失敗の元です。
*トールペイントは、上から下や左から右へなど一歩方向に筆を動かすことが多いです。それが描きにくい時は、下から上に描くのではなく素材を回転させます。
反対に「かまぼこ板」位の小さな物も描きにくいです。
素材は、トールペイント専門店やホームセンターなどで売っています。
私は下記の楕円形の素材を使って、犬の絵を描く準備をしたいと思います。
用意した素材のサイズは、たて12.5㎝ 横17.5㎝です。
「ホームセンターで見たら素材が高かった💦」と言う場合は、100円均一の素材や家にある木の板でも良いと思うのですが、木の種類によっては描きにくい場合もあります。
②トールペイントに向かない素材とお勧めの素材!
<トールペイントに向かない素材>
・ファルカタ集成材(南洋桐)の板
軽くて柔らかいのが特徴、100均の木製品に多く使われているのでご注意ください。
この素材は水分を多く吸い込む特性が有るので、ベースコートを念入りにしても絵の具をグングン吸い込んでしまします。
・べニア板(ラワンべニア合板)
ホームセンターなどで売っているべニア板もトールペイントには向きません。
見てもらえばすぐに分かりますが、表面がザラザラでいくらやすりを描けても滑らかにならないからです。べニア板自体は薄いし、合板のものは切断面が弱いです。
どうしてもと言う方は、「シナベニア」を選んでください。
シナベニアはシナという木とベニヤ合板を組み合わせた素材で、表面はなめらかです。
<トールペイントにお勧めの素材>
「じゃ、どんな素材が良いのですか?」
やはりトールペイント用に作られた板(プラーク)が初心者さんには描きやすいです。
「あと、お勧めの形は?」
トールペイントの素材は多種多様ですが、犬の似顔絵を描くのなら板状の物(プラークと呼ばれます)にしてください。
フレーム(枠が付いている物)や箱状の物は手間がかかるからです。
プラークの形も色々ありますので、フィオラの犬の肖像画で、取り扱いしている素材を参考にしてみて下さい!
③素材以外を準備する
鉛筆、消しゴム、ボールペン、転写紙、テープ、ペットの画像・・・これだけです。
2、 愛犬の画像を選ぶ
犬(動物)のトールペイントの図案作りにとって、画像選びは重要です。
適切なものを選べば、良い絵が描きやすくなります。
こんな画像は失敗する!
①ピントが合っていない、逆光、赤目。
②愛犬が上や下を向いている。
③昔の携帯に残された古い画像、プリクラ、アプリで加工済みのもの。
④背景がゴチャゴチャしていて、ペットの毛の色と区別がつかないもの。
⑤綺麗に撮れていても、その子らしさが出ていないもの。
「そんなの当たり前でしょ!」と、仰るかもしれませんが、
実際、過去にプリクラや古い画像から犬の肖像画を描いた事があります。
飼い主さんのお気に入りの画像だったから、どうしてもと言われたのです。
お気に入り=描きやすい画像ではないですよ!
じゃ、反対にどの様な画像が良いの?
トールペイントの図案作りには、下記のように、飼い主さんと愛犬の目が合う画像を選んでください。
・お口を開けている&舌チョロは元気溌溂な感じを与えます。
・反対におちょぼ口は、困った感じの愛らしさを表現します。
愛犬家の皆様ならきっと「わが子のチャームポイント」が分かっているはず。
目と目があって、思わず微笑み返すような画像を選んでくださいね!
3、愛犬の画像を印刷する
画像が決まったら早速印刷します。印刷の方法は2つあります。
家に印刷機があり、画像処理に慣れている場合。
画像を任意の大きさ(素材に収まるサイズ)に拡大して、カラー印刷して下さい。
白黒(グレースケール)印刷の方がコスト的にお安くなるのかも知れませんが、描くときにカラー見本が必要だからです。
「あれ、少し大きかった?」何回もやり直しますとインク代が掛かるでご注意下さい。
家に印刷機がない、画像処理に慣れていない場合。
①お店で、スマホから写真プリントする(L判を2枚)
1枚はカットし、残りの1枚は描くときの見本に使います。
②その写真を必要な大きさにカットする
描くのは上半身なので、描きたい部分だけを残して周りをカットします。
③コンビニで、描きたい大きさになるまで拡大コピーする(白黒印刷)
倍率は、仕上がりサイズ÷原稿サイズで算出します。
たての仕上がりサイズを11㎝としたので、
(11÷6.5=1.69)170倍で拡大コピーしました。
皆さんは、ご自分の写真と素材の大きさから、拡大倍率を決めて下さい。
1回でピッタリにならない事もあります。失敗しても良いように白黒印刷(10円)にしておきます。描くときは元のお写真の色を参考にしてください。
心配な場合は、コンビニにトールペイントの素材(木の板)を持って行き、大きさを確認しましょう。
4、愛犬の写真の細部が良く見えるように濃くなぞる
トレッシングペーパーが薄いので簡単に転写できると思いがちですが、意外と見えづらいのです💦
ですからシッカリ写せるように、顔の造作や毛の向きなどの細部は鉛筆や細マジックで濃くなぞっておきます。
(失敗するのが心配な方はマジックではなく、HBなどの鉛筆をご試用下さい)
また、鼻の孔と瞳の光などは、白いジェルタイプのボールペンで強調しておくと、転写しやすくなります。
今回は、パイロットの「ゲルインキボールペンジュース 白」を使いました。
5、愛犬の写真をトレッシングペーパーに転写する
印刷した画像の上に転写紙を置き、鉛筆で写します。
*初めに素材の形を写しておくと、転写しにくくなります。
*ずれない様にマスキングテープなどで、とめておいても良いです。
*鉛筆は良く削ること(又はHBのシャーペン使用)
私が普段使っているトレッシングペーパーとマスキングテープです。
トレッシングペーパーにはいろいろな種類がありますが、トールペイントに使うのは「薄口」の物を選んでください。(40g/m²)
私は、他の物(絵の具や筆)を買うついでに、銀座ソレイユで購入しています。トールペイント専門店の品物なのでやはり使いやすいです。
近くで購入されたい方には、コクヨの(セーT149N)がお勧めです。
転写出来ました!!
転写はあっという間だったと思います。どちらかというと、それまでの準備の方が手間がかかったのではないでしょうか?
以上で転写は終了なのですが、必要な場合だけ「修正」を行います。
6,図案の修正の仕方
生徒さんの苦情で一番多いのが「ソックリに描けたんだけれど、可愛くない!」
「うちの子は、きっと写真写りが悪いんです。本当はもっと可愛いの!」等です。
これは、人間でもそうですよね?「もっと可愛いはずなのに~」と思う事あります(笑
そこで、少し修正して「可愛い感じ」にする方法をお話しします。
犬の場合、チャームポイントは概ね「瞳」なのですが(犬種によっては違うかも?)
目の大きさや形よりも、その位置が大切です!
これは犬以外の他の動物(猫、ウサギなど)もみな同じです。
目の位置が低いと幼顔になります。
上の写真ですが、目の位置が鼻の中心位でかなり低いです。
ここまで目が下についていると、幼い印象を与えると思います。
目の位置が低い=幼い顔なのです。ベビーフェイスとでも言いましょうか?
ベビーフェイスを見ると、人は「可愛い」と感じるようです。
犬種によっては、もっと低い場合もあります。鼻と目の位置がほぼ同じです。
実際「お爺ちゃん犬」でも子犬だと思わるかもしれませんね。
でも、あまり大げさは不自然です。少しだけにしましょう(笑
では、実際に目の位置を少し低くしてみます。(鼻に近づける)
目の部分だけ、5ミリ程度下げて転写しました。
目にかかる鼻の上の毛は少し消します。
図案が出来ました!!
お写真よりも少しだけ幼顔の図案になりました。
【犬のトールペイント】図案を使って愛犬の似顔絵を描こう!
愛犬の図案を利用して、トールペイントするとこんな感じになります。
*素材の形に合わせて図案の角度や大きさは変えてあります。(応用編です)
*もちろん、慣れないうちはお花や文字を書く必要はありません。シンプルな絵でも十分可愛いです。
また一つ図案が出来ると、それを応用していろいろな物が作れます。
さあ、図案が出来たら、さっそく描いてみて下さい。
トールペイントの本や動画を参考に描く事も出来ますし、技法にこだわらずに自己流に描いても良いと思います。
愛犬の絵なので、自分で満足できれば大成功です!!
また、同じ図案を使って色鉛筆画やクレパス画なども描くことが出来ます。
「そんなこと言っても、まだ心配だわ!」
悩んだり、迷ったときは気軽にメッセージにてご連絡ください。
また、今後、描き方の記事も書きたいと思っています。
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